女性の体は、約28日周期で、脳の視床下部・下垂体、卵巣・子宮が共同して妊娠の成立に供えて準備をしています。これが、生理周期で、妊娠が成立せず不要となった子宮内膜が経血として体の外に排出されるのが月経です。
月経後、視床下部からの指令で、脳下垂体に卵胞刺激ホルモンを分泌すると、卵巣内の原始卵胞の中から一つが発育し始めます。卵胞が成熟するにつれ、女性ホルモン(エストロゲン)を分泌量が増えていきます。
エストロゲンにより、前の月経で一度はがれた子宮内膜は妊娠に適した状態になるように厚みをましていきます。
月経後から約2週間、血液中のエストロゲンの量がピークになると、脳下垂体から黄体化ホルモンが分泌されます。黄体化ホルモンが一定量分泌されると、卵胞から卵子が飛び出して排卵が起こります。排卵日には基礎体温が大きく下がるほか、おりものが卵白状になり粘度が増します。卵子は卵管采から取り込まれて卵管を移動し、精子が来るのを待ちます。
卵子が飛び出した後の卵胞は黄体に変化し、黄体ホルモンを分泌します。黄体ホルモンの働きによって、子宮内膜はさらに受精卵の着床に適した状態に変化していきます。
排卵から7~10日で受精卵が子宮内に着床(妊娠成立)しなければ、黄体は白体となってしぼみ、黄体ホルモンの分泌量は急激に減少して、子宮内膜ははがれて月経として排出されます。
逆に、妊娠が成立すれば、黄体は妊娠黄体となってホルモンを分泌し続け、妊娠状態を維持します。基礎体温で見ると排卵後の高温相が続きます。
妊娠期間中は月経はもちろんありませんが、出産後、月経はいつから再開するのでしょうか。出産後は母乳を分泌するホルモンプロラクティンに排卵を抑制する作用があるため、母乳育児をしている人は出産後、5~6ヶ月月経が再開しないことが多いようです。ただし、出産後の月経再開時は個人差があります。
また、月経がなくても実際には月経が再開する前に排卵が起こっていることがあります。
よく出産すると生理痛が軽くなる、といいますが、これは出産によって子宮頚部が一度大きく開くため、出産後は経血が排出されやすくなることが多いためです。
月経は、妊娠のための準備ではありますが、近い将来に妊娠・出産の予定がなくても、女性の体と心の健康に大きく関係しています。自分の月経周期を知ることは避妊を行ううえでも、健康管理の上でも有効なので、今まで基礎体温をつけたことがない人は、1、2周期の基礎体温を記録してみるとよいでしょう。