不妊手術


不妊手術は日本ではあまりなじみがない方法ですが、世界的には最も多く行われている避妊法です。世界的な家族計画に関する統計によると、避妊法の36%が不妊手術となっています。

不妊手術は、女性の卵管、または男性の精管を外科手術によって縛り(結紮)、卵子や精子の通過を止める、という手術です。不妊手術後、妊娠を望む場合は再手術が可能ではありますが、すでに子供を持ちこれ以上生むつもりがない夫婦などが行うことが多い避妊法です。

男性側の不妊手術である精管結紮は、「パイプカット」とも呼ばれます。

精子は睾丸で作られて精管を通って精嚢に溜められ、射精の際には前立腺からの分泌液と混ざって精液となります。精管を縛ると数回の射精の後、精液には精子が入らなくなりますが、精管は男性ホルモンの分泌とは直接のかかわりはなく、精管結紮をしても、性欲減退や精液量が減るといったことは、通常はありません。ただし、精管結紮後長期間経つと精子の産生能力は退化し、再度の手術で妊娠を望むことは確実にはできない、というリスクがあります。精管結紮の手術は局所麻酔で行われ、日帰り手術で入院は不要です。女性の卵管結紮に比べて負担が少ない手術といえます。

卵管結紮は、卵管を縛ることによって卵子や精子が卵管を通過して受精することを防ぐ方法です。手術は腹部の切開によるものと、膣側から行うものがありますが、どちらの手術も数日程度の入院が必要です。卵管結紮手術をしても、卵巣や子宮の働きには影響がありませんので、排卵が起きなくなったり、月経がなくなったりするわけでなく、女性ホルモンの分泌状態も変わりません。

不妊手術は、ピルのように飲み忘れたりコンドームのように使用方法によって失敗することがなく、かなり確度の高い避妊法ですが、手術によっても100%避妊が成功する、ということはなく、ごくまれにですが、卵管が自然につながったりして、妊娠するの可能性があります。性感染症予防のためのは不妊手術を受けていてもコンドームの使用が必要です。

精管結紮も卵管結紮も手術である以上、感染症や麻酔の事故などのリスクは常に伴いますので、その点を考慮する必要があります。また、今後、本当に妊娠を望むことはないのか、ということも含め、パートナー、医師とよく話し合って選択しましょう。





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