オギノ式


オギノ式は、荻野久作博士の月経周期に関する学説を流用した避妊法です。しかし、荻野博士の学説は、もともと不妊症治療のために考えられたもので、荻野博士自身はあくまでも避妊法ではなく、妊娠可能な期間中に性交をすることで受胎の可能性を高めるため方法だとしています。しかし、現在ではオギノ式は避妊法として認識している人も多く、生理的な変化を利用した自然な避妊法であるために、オギノ式避妊法はローマカトリック教会では唯一認められた避妊法でもあります。

オギノ式による避妊の方法は、半年間の月経周期に基づいて予測した排卵日と、精子の生存期間を3日程度とする前提で、月経推定日の12~19日前の8日間を妊娠しやすい期間として、その間の性交を避けるものです。

しかし、8日間という期間は長すぎるため、最近では排卵日の方を予測し、その3日前から2日後までを避けるという方法が一般的となっています。俗に、「安全日」という言い方をしますが、オギノ式の計算では、「危険日」は算出されても、「安全日」というのはありません。まったく妊娠の可能性がない期間、というのはないからです。計算は「オギノ式簡易計算機」などの名前でインターネット上でも計算プログラムを利用して行うことができます。

オギノ式での避妊は、道具や検査、薬品などが不要で、費用もかからず簡単に実行できますし、コンドームの装着のように性行為を途中で中断する必要もありません。算出された危険日での性交を避けること以外に、やらなくてはならないことはないので、自然な性行為を望むカップルには、その点では適しているのかもしれません。

しかし、オギノ式では肝心の避妊成功率は高くはなく、避妊法としては不確実な方法です。月経周期から排卵予測日を算出するので、もともと月経周期が不順な人には向きません。いつもは定期的に生理がある人も何かのきっかけで排卵日がずれることはよくあるので、そのような場合は避妊に失敗することがあります。

また、妊娠可能な期間中性交を避けなければならないので、意思の弱い人にも向きません。オギノ式は単独で避妊法として利用できるものではなく、コンドームなど他の避妊法を使用する際に、より妊娠の確立が低いと考えられる期間を知る、または、女性の健康管理のために排卵日を知るための方法、というくらいに捉えたほうがいいでしょう。





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