殺精子剤


殺精子剤は、性交の一定時間前に膣内に挿入し、薬剤(主に界面活性剤)が膣内で溶け出すことで、精子を殺したり、精子の運動能力を麻痺させたり、膣までの通行を不可能にしたりする避妊法です。殺精子剤には、クリーム・ゼリー状・錠剤・フィルム剤・坐薬・アプリケーター型、殺精子剤をしみこませたスポンジを膣内に挿入するものなどの様々な形があります。

ただし、現在では低容量ピルが認可されて発売されたことで、不確実な殺精子剤による避妊方法より確実な避妊方法をと考える女性が増えてきたため、発売中止となっている製品もあり、薬局などで扱われているものは限られています。

殺精子剤の避妊の効果はあまり高くありません。殺精子剤の使用方法は性交の5~10分程度前に膣内の子宮口の近くに殺精子剤を挿入し、挿入後20分~1時間程度避妊の効果があります。そのため、性行為が長く続く場合は、薬剤を再度入れなおします。

避妊ゼリーの場合は、コンドームやペッサリーに塗って使用します。最初から殺精子剤(避妊ゼリー)を付着させたタイプのコンドームも市販されています。

殺精子剤の副作用としては、薬剤による皮膚刺激で敏感肌の人の場合かぶれたり、おりものが増えたりすることがあります。また、殺精子剤の体内での環境ホルモン様の内分泌かく乱作用を問題とする意見もあります。

殺精子剤の避妊効果はあまり高くはなく、単独では確実な避妊方法とはいえません。

ゼリータイプ以外は殺精子剤が溶け出すまでの時間に個人差があったり、射精のタイミングによっては薬の効果がなかったり、体位によっては薬の成分が流れ出してしまったり、などの原因で避妊に失敗する可能性があります。また、フィルムタイプの場合、扱う手指が濡れているとパッケージから取り出したときに手指に張り付いてしまったり、慣れるまで挿入する位置の特定が難しくて適当な位置に薬を挿入することができないこともあります。

そのために、殺精子剤は単独の避妊法ではなく、コンドームなどの他の避妊法の補助として併用することで、より避妊の効果を確実にするためのものと考えたほうがよいかもしれません。また、殺精子剤は性感染症の病原体に対する効果はありませんので、性感染症予防のためには、コンドームを使用しましょう。





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