産後の避妊


産後、しばらくは、休養をとる必要がありますが、それを過ぎれば再び性生活を始めてもよいでしょう。しかし、母体の健康回復や、育児の負担が過剰になることを防ぐ点からも、次の妊娠・出産まである程度間隔をあけることが望ましいので、しばらくの間は避妊を行う必要があります。また、経済的な事情や母親の産休や復職などの社会的な条件によっても次の出産までどの程度の間をあけるか、最終的に何人の子供をもつのか、という家族計画が違ってきます。

よく、授乳期間中は妊娠しないなどと言い、実際に授乳している間は月経がない人も多いのですが、月経の再開次期は個人差が大きく、産後2ヵ月程度で始まることもあれば、断乳してようやく再開することもあります。また産後の排卵は月経が再開する前に起きていることが多いために、避妊をしないでセックスをしていると、この間に妊娠する可能性があります。

「月経がまだだから」、「授乳期間は妊娠しない」などと思い込まず、産後初めての性生活から適切な避妊を実行しましょう。産後、子宮や腟が出産前の状態に戻るには2ヵ月ほどかかりますのでその間はコンドームによる避妊が適しています。産後、約2ヵ月を過ぎたら、経口避妊薬(低用量ピル)、IUD(子宮内避妊用具、避妊リング)の使用も可能です。ただし、授乳中は、もちろん、他の薬と同じく経口避妊薬(低用量ピル)の使用は避けなければなりません。

お産のあと、次の出産を考える時には、第一に母体の健康の回復を考慮します。母親である女性が健康であれば、産後2ヵ月もたてば、妊娠・分娩の疲労から回復します。しかし、特に第1子出産後の場合は、慣れない育児をしながらすぐに次の子を妊娠するのでは、体力的にも精神的にも、負担が大きくなります。女性の身体の回復と、育児の負担を考えた場合、次の妊娠まで最低1年はあけることが望ましいでしょう。また、妊娠高血圧症候群の後遺症があったり、心臓病、肝臓病、高血圧、糖尿病などの健康問題がある場合、次の妊娠の時期や妊娠・出産が可能であるかどうか、医師と相談することが大切です。

子供をいつ、何人産むかというのは、それぞれのカップルが自由に選択できますが、生まれた子供を育てる、ということについては、大きな責任が伴います。夫婦のためにも、生まれてくる赤ちゃんのためにも、健康上・経済上など、各家庭でできる限りの理想的な環境の中で妊娠・出産するのが望ましいものです。

実は、30代40代の既婚女性で望まない妊娠をした人の人工中絶手術が意外と多いのです。夫婦であっても、子供を望まない場合は避妊を行う必要があることと、正しい避妊の方法を男女ともによく理解する必要があります。





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